小規模事業の経営者で、今までに決算代行を依頼したことがある、または今後依頼する予定がある方は多いのではないでしょうか。しかし、決算代行を行なっている税理士や、格安決算代行サービスなども数多く存在し、依頼先に悩むこともあるでしょう。Googleなどで複数の税理士のサイトを見て、一番リーズナブルなところを探したいところですが、条件が複雑なため多くても5社ほどを比較した時点で選んでしまいがちです。そこでこの記事では、検索で上位に入る決算代行サービスを日本全国の税理士事務所40社以上から厳選して、売上ごとに決算報酬がどのように変わるか、金額比較表を作成しました。弊社を含めた税理士事務所の決算代行サービスの比較を行っています。決算代行を依頼する際の判断基準や参考として、お役立てください。

決算代行の選び方

法人でも個人事業主でも、年に一度はすべての会社で、決算・申告書の作成が必要になります。ところが通常、この業務を行える人員を社内に用意するのは困難なものです。そこで大変有効なのが決算代行のサービスです。決算代行・申告書作成代行は基本的に税理士が行っておりますが、どの税理士に頼むべきか、どのサービスが良いのか悩むこともあるでしょう。決算代行を選ぶ際に重要なのが、コストやサービス内容を比較し、きちんとメリット・デメリットを理解したうえで依頼先を選定することです。
※今回の記事に掲載の金額は、(税込)の記載があるもの以外税抜価格です。

決算代行を利用するメリットとデメリット

決算代行を利用する主なメリットは以下のようなことが挙げられます。

  • 正しい決算・申告ができる
  • 担当者が主業務に専念できる
  • 税金対策が期待できる
  • 顧問契約するより費用が安い

決算代行を利用することで売上高や予算の関係上、今はまだ顧問契約をする予定がない場合でも、税理士の力を借りながら正しい決算・申告を行えます。特に一人法人などは、決算業務を外部に任せられるため、通常業務に集中できるのではないでしょうか。

一方、デメリットとしては以下のようなことが考えられます。

  • コストがかかる
  • 社内に決算業務の知識を持った人材が育ちにくい
  • 顧問契約に比べて効果的な節税ができない可能性がある

決算業務を外注するため、当然ながら費用がかかります。また、外部で決算作業を行うことで、社内には知識や経験を持つ人材が育ちにくいといった側面があります。
以上のようなメリット・デメリットを理解したうえで、決算代行を依頼するべきか、自社が求めるサービスとは何かを判断するようにしましょう。

▼決算代行サービスの選び方について詳しくは、こちらの記事も併せてご覧ください。
決算代行の選び方 〜決算代行のメリット・デメリット〜 

決算代行9社の金額比較

顧問契約が不要で、決算代行だけ依頼できる9社の決算料金をグラフにしました。なお、この表の作成に当たり、40社以上のサイトをあたりましたが、後述する条件に当てはまるサービスだけに絞って表示しております。このグラフを基に各社のサービスを比較していきます。

今回の比較表は、以下の条件で作成しております。

  • 法人の決算が対象
  • 休眠会社以外の場合、法人税の申告代金と消費税の申告の代金を合算
  • 顧問契約不要の会社のみ
  • 地域限定の代行除外
  • 特別料金除外
  • セルフ申告除外

本当にその金額だけでできるの?

実際にインターネットで決算代行の検索をしてみると、今回記載している決算代行のサービスより安価な価格設定が提示してあるサイトが見つかります。しかし、そのようなサイトには重要ながら見落としがちな条件が多いため、今回は掲載を除外しました。さまざまなサイトを比較するうちに、以下のような落とし穴が見受けられたため、決算代行を選定するときは注意書きまでしっかり確認するようにしましょう。

  • 法人税の申告費用以外の「〇〇料金については別途」と小さく記載されているだけ
  • 初回の依頼に限り、安価なキャンペーン価格が適用される
  • 2年目以降の依頼の際は顧問契約が必要となる
  • 近隣の地域限定での依頼しか受け付けていない
  • 無資格の決算代行

トータルの金額がわかりにくいと、大体の費用を把握するためだけの問い合わせや見積もり依頼が必須になり、手間がかかります。顧問契約が前提での金額の場合、不要な顧問契約をすることになったり、契約を回避できても提示してある金額より高額になったり、契約しない場合は依頼することが不可能だったりします。初回だけの特別料金の場合は、翌年また決算代行会社を探すことから始める必要があるかもしれません。稀なケースですが、過去には記帳代行から決算申告まで依頼し、申告完了後に税理士資格がない決算代行だったことが発覚したというトラブルもあったようです。記帳代行のみであれば税理士資格がなくても可能ですが、決算代行に関しては税理士しか行えないことも理解しておきましょう。

今回の比較に関しては、より気軽に決算代行を利用できるよう、原則として特別な条件がなく単発で依頼できる決算代行に限定して比較しています。
また、2期目・3期目と継続して依頼することで、進め方の流れも理解が深まり、データのやりとりも含めてスムーズになります。依頼先によっては、リピートによる割引が適用されるケースもあります。「単発」である決算代行サービスですが、できれば継続してお付き合いいただけるような比較条件にしています。

決算代行サービスを費用で比較した場合

まずは決算代行サービスを費用で比較します。比較表は各サイトに掲載してある価格表から作成しています。

価格は基本的に売上高に応じて変動する

原則的に決算料金は売上高に比例します。格安決算代行と呼ばれるサービスをはじめ、どのサービスも売上高が低いほど決算料金は安価ですが、売上高が上がれば決算料金も高くなります。決算料金が上がる1つのポイントが、売上高1,000万円です。これは売上高が1,000万円を超えると、インボイス登録していなくても消費税の課税事業者になることから、法人税の申告だけではなく消費税の申告が必要になることが理由だと推測されます。決算代行会社によっては、法人税の申告と消費税の申告が別料金で掲載されている場合もあります。

売上高が変わっても一律料金なのは1社だけ

自社の売上高が増えるのは喜ばしいことですが、売上高が上がれば決算料金も増えてしまいます。できることなら決算料金は抑えたい……とお考えの場合に大変嬉しいのが均一料金です。今回比較した決算代行の中で、売上高が変動しても決算料金が一律で変動しなかったのは弊社のみでした。

弊社のサービスは売上高5億円までは決算料金が一律です。売上高1,000万〜5億の場合、均一料金59,800円はほぼ業界最安値と言えます。これは法人税の申告と消費税の申告まで含んだ料金のため、決算料としては追加料金が発生する心配はありません。
ただし、領収証の整理や日々の記帳などは自社で行う必要があります。普段からクラウド型会計ソフトを使用して記帳を行っているのであれば、データの共有もスムーズに行えます。記帳も依頼したい場合は別途要相談になります。

なお、今回の比較表には掲載しておりませんが、初回の依頼に限り59,800円のキャンペーンで価格が適用されるという決算代行会社もありました。ただし、売上高は1,000万円未満という条件があり、さらに消費税の申告が必要な場合は別途50,000円の追加料金が発生するため、今回は比較表から外しております。

比較表のD社も売上高5,000万円以下かつ法人税の申告のみであれば、法人決算オンラインと同様に年額60,000円と安価ですが、消費税の申告については別途20,000円の費用が必要です。しかし、freee会計ソフトユーザーであれば、2年目以降は法人税の申告料が12,000円割引になります。毎年同じところに決算代行を頼む予定ならこのような割引のチェックも行うと良いでしょう。また、記帳代行も月額制で依頼するサービスもあります。

▼オススメのクラウド型会計ソフトについてはこの記事も併せてご覧ください。
https://kessan-online.jp/column/cloudaccount

売上高ではなく、サービス内容で金額が変動するケースもある

今回の比較には入っていない決算代行会社ですが、売上高と併せてサービス内容を限定することにより、金額が変動するケースがあります。この決算代行会社では、法人税申告書の作成のみか、決算修正までか、領収書の整理等まで全て依頼したいかによって3通りのプランを選べます。最も費用が高いプランの場合、領収書等の整理から一括で依頼できます。経理データの入力を一切行っておらず、資料を段ボールで送っても追加料金はありません。
一人法人の場合、起業して初の決算では、なかなか経理業務までこなすのは難しいということもあるかもしれません。このような「丸投げプラン」があると領収書等の資料をしっかり保管さえしていれば、1から決算業務を依頼できるため心強いのではないでしょうか。ただし、作業量が膨大な場合などは料金は多少割高になる可能性があるため、きちんと金額の確認をするよう注意しましょう。

なお、クラウド会計ソフトのfreeeには、会計ソフトと連動したクラウド型法人税申告ソフトがあります。このソフトを使ってセルフ申告を行えば、年額24,800円の費用で決算申告が可能です。セルフ申告なので、基本的に入力から申告まで自社で行うことになりますが、操作方法についてはメールサポートがついています。今後も税理士との顧問契約の予定がなく、決算作業を「できるだけ自社で」と考えている場合は、今後の知見と経験にも繋がるのではないでしょうか。

休眠会社限定の激安価格が存在する

現在休眠中の会社でも、税務申告は必要です。調べた時点(2023年8月現在)では、完全に休眠中の会社の最安値はA社の税務申告料のみ20,000円でした。その他の決算代行会社でも不定期ではありますが、キャンペーン価格などの割引も行われることがあるため、休眠会社を抱えている場合には定期的に確認してみると良いでしょう。

決算代行サービスを内容で比較した場合

価格は売上高で変動するものの、売上高1,000万円を基準に概ね8万円〜10万円が多い印象でした。では、決算代行をサービス内容で比較した場合はどうでしょうか。

サービスの内容に関しては大きな差はありません

決算代行のサービスとしては、申告書・決算書の作成から決算申告までが一般的です。特に今回の比較表では、申告書・決算書の作成〜申告までを依頼した場合の金額を比較対象にしているため、サービス内容には大きな違いはありません。依頼しようとしている決算代行で、掲載されている金額に含まれるのが決算書作成〜申告のみなのか、法人税の申告のみなのか消費税の申告も込みなのか、領収書の整理や記帳代行込みなのかは必ず確認しましょう。
記帳込みで決算代行を探している場合、記帳代行に対応していない決算代行会社に依頼してしまうと、別途で記帳代行を探す手間や費用が発生してしまいます。また、自社で記帳を行っている場合、記帳込みのサービスを選ぶと無駄なコストがかかってしまうかもしれません。

なお、記帳代行込みでの金額なのか、記帳代行に対応はしているものの別料金なのかによっても、総額が大きく変わる可能性があります。一口に記帳代行といっても「300仕訳まで」など制限があったり、「100仕訳を超えた場合、別途1件につき100円」といった追加料金があったりするため、注意が必要です。

会計ソフトが指定されている場合がある

指定された会計ソフト以外だと決算代行を依頼できない場合もあります。依頼したい決算代行会社が指定している会計ソフトと、自社の会計ソフトに互換性があるかどうか、依頼前に確認しておきましょう。
前述したD社のように、指定された会計ソフトを使用することで決算料金が割引になるサービスを行っている決算代行もあります。自社の会計ソフトが対応しているかを確認しておくと、コストダウンを狙えるかもしれません。

顧問契約を前提に金額が安くなる決算代行もある

顧問契約することを前提に、初回の決算料金が半額になるサービスを行っている決算代行もあります。起業したばかりで決算費用を抑えたい場合や、今後税理士との顧問契約を検討している場合に有効なサービスだといえるでしょう。
逆にいうと、このような場合は顧問契約をしないと割引は適用されません。内容をきちんと確認せずに決算代行を依頼した場合、予定になかった顧問契約をすることになるか、割引適用前の金額を支払うことになるためご注意ください。

決算代行サービスを頼むタイミングで比較した場合

決算代行を依頼してから、決算書が出来上がるまで、概ね2週間〜1ヶ月くらいかかります。納期までのスピードに関しては、資料の完成度や純粋な作業量によるところが大きく、この決算代行会社だけは特別早い!というようなことはないようです。では、どのタイミングで決算代行を依頼すると、希望している期日までに決算処理が完了するのでしょうか。

まだ決算作業中だけど、依頼しても大丈夫?

取引量が多く、必要な資料がまとまっていなかったり、きちんと保管されていなかったりする場合、申告期限の1か月前であっても代行側が断るケースもあります。そのため、まだ資料作成の作業中だったとしても一度早めに相談することが好ましいといえるでしょう。
逆に取引量が少なく、資料もまとまっているのであれば申告期限2週間前でも概ね対応可能になります。普段からこまめに記帳を行い、資料まとめをしっかり行っておくと依頼する段階になった際に安心です。依頼先の指定する会計ソフトでデータ処理を行っているのであれば、共有するのも楽に行えます。

申告期限が過ぎていても対応してもらえる?

決算には申告期限があります。申告期限が切れている場合でも、基本的には対応してもらえます。申告期限がすぎてしまうと、ペナルティとして延滞税がかかるうえに、取引先や金融機関からの信用が低下したり、融資の審査が厳しくなったりする可能性もあります。早めに税理士に相談することで、ペナルティが発生するような場合でも、最小限の負担ですむような対応策を提案してもらえます。決算代行会社によってはお断りされる可能性もあるため、申告期限が過ぎている件はあらかじめ相談しておくと良いでしょう。なお、申告期限が過ぎている場合に別途手数料が発生する決算代行もあるため、必ず確認しましょう。

G社は今回比較した決算代行サービスの中では若干料金が高めですが、申告期限の一週間前までの申し込みが可能です。それ以降のお申し込みも不可ではありませんが、状況によってはお断りされる可能性もあるため、やはり早めに一度相談するのが望ましいでしょう。
法人決算オンラインでも、申告期限を過ぎた決算処理もお引き受けしています。期限を過ぎている場合1日でも早くご相談いただけることが重要です。弊社に限らず、どの決算代行サービスに依頼した場合も最善を尽くしてもらえるはずですから、1日も早く相談することをオススメします。

まとめ

決算代行の依頼をする場合、自社のニーズを把握し、必要なサービス・必要なコストを正しく判断することが重要です。また、将来的に自社で決算業務を行いたいのか、顧問契約も視野に入れて税理士に依頼したいのか、今後の会計事務を考えるうえでの1つの判断基準にもなります。満足のいくサービスを受けたり、相性の良い税理士を探したりするためにもリサーチを行い、「最短納期」や「業界最安値!」のような謳い文句だけに惑わされないように注意しましょう。そのためには余裕を持って決算業務を行うことも大切です。

法人決算オンラインは、業界初の均一料金決算申告代行サービスです。クラウド会計(freee・マネーフォワードクラウド・弥生会計)に対応しており、年間売上高が5億円未満であれば、均一料金59,800円にてご利用いただけます。また、税理士が開発したプログラムのため、税理士に頼む時のように節税に関する対策もしっかりと行っており、安心して依頼できます。

法人決算オンラインは、「必要な分だけ、最小の料金で。」という理念のもと、最小の料金設定でスモールビジネスを応援しています。

⇒法人決算オンライン