2002年(平成14年)までは税理士会が定めた税理士の報酬規定※というものが存在しており、どのような規模の税理士事務所でも最高限度額が定められていました。税理士法改正に伴い報酬規定が撤廃され、インターネットの普及とともに、よりリーズナブルで自社にあった税理士を探せるようになりました。
では、「自社にあった税理士」とは?顧問契約を結ぶ際に、どんなことに注意するべきなのか?適切な税理士選びのポイントをご紹介します!
※日本税理士会連合会参考
税理士の仕事とは?
そもそも税理士とは、一体どのようなことをしてくれる仕事なのでしょうか。
主な業務は税務的な相談に乗ってくれることと、税務申告書等の作成になります。ほかにも記帳代行や、年末調整を行うことなどがあげられます。
▼基本的なサービス
- 税務的な相談や質問への対応。顧問契約を結ぶ場合もある。
- 毎年必要となる決算と税務申告書の作成。決算と申告書作成は月々の顧問契約料のサービス範囲外なこともある。
▼追加報酬が必要になるケースが多いサービス
- 記帳代行:会計ソフト等への入力を代わりにやってもらうこと
- 年末調整:会社から給与をもらった人の一年間の税金を計算してもらうこと
自社に税理士は必要?
では、会社にとって税理士は必要なのでしょうか。
近年の税理士報酬の相場は低下傾向にあります。これはインターネット環境の整備が大きな要因のようです。
- 税理士報酬の比較が簡単になり、世間の相場を見て税理士自身が報酬相場に合わせている
- 自身のホームページで情報を公開している税理士も多く、わざわざ報酬を払って税理士を雇わずとも自分で調べればわかることが増えた
- クラウド会計ソフトの台頭で帳簿が楽に入力できるようになった
この3つの変化により、税理士と会社の会計環境も目まぐるしく変わりました。特にクラウド会計ソフトの台頭は著しく、自動的に仕訳ができたり、会計がわからない人でも簡単に扱える「freee」や「MFクラウド」なども出てきました。
さらに会計ソフト大手の弥生会計も、「弥生会計オンライン」というクラウド会計ソフトをリリースしたことにより、安価かつ簡単に自分たちだけで日々の記帳や売上分析などができるようになりました。かつては経営者自身が簿記を勉強したり、簿記の資格を持つ会計ソフトの入力に長けた従業員を採用する必要がありましたが、 現在では会計ソフトがその代役を担うようになってきています。
もちろん顧問税理士を雇うことで得られるメリットもありますが、特に小さな会社にとっては「売上を生まない部門」に年間何十万も予算を使うことはなかなか難しいことです。あなたの会社にとって「税理士を雇うことで得られるメリット」と「年間の顧問料・決算料総額」のバランスが取れているか考えてみるのも良いかもしれません。
「自分たちだけで会計業務をやってみたい」という方にオススメなのが「決算申告だけ」を格安で提供している法人決算オンラインです。スモールビジネスをサポートするために「クラウド会計ソフト+法人決算オンライン」だけで、会計業務を安くて正確に済ませられるよう応援しています。
税理士を選ぶときに気をつけること
前述したとおり、税理士の行う主な業務は以下の2つです。
- 顧問として税務的な質問や相談の対応
- 決算・確定申告書の作成
しかし、税理士のサービスは決まった商品の販売業ではないため、さまざまな税理士事務所が存在しています。では、税理士事務所を選ぶ場合、何に気をつければ良いのでしょうか?
最も重要なのは「経営理念が合う税理士を選ぶこと」です。一言で「税理士事務所」といっても、今後の経営パートナーとなる相手ですから慎重に選ばなければなりません。
気になる税理士事務所があったら、どのような理念でサービスを提供しているかを把握してみましょう。多くの場合、ホームページに代表者挨拶があるため、理念や人柄を知る材料としてじっくり読んでみる価値があります。
また、税理士の先生に直接会ったときには直接聞いてみてください。 税務的なことを質問したとしても経営理念の違いにより、税理士によって異なる答えが返ってくるでしょう。 同じ結論だとしてもニュアンスが違ったり、視点の違いがあることはよくあります。
顧客目線の回答なのか経営的な視点の回答なのか、税務署の指摘を受けないための回答なのか、はたまた税理士試験の模範回答のようになってしまっているかなど、税理士の理念が異なると回答も異なってきます。自分に合った税理士を探すためには、自分自身がどのような理念で会社を経営しているかを考え直してみることです。そのうえで経営理念に共感できる税理士を探してみましょう。
税理士を選ぶ3つのポイント
せっかく高い報酬を払って税理士に依頼するのであれば、しっかりと自社に合った税理士を選びたいところです。特に気をつけるべき3つのポイントをあげてみました。
一見当たり前のように感じることですが、この3つを考えずに依頼されている方が非常に多いのが現状です。詳しく説明していきます。
1)自社がどのような会計業務を依頼したいのかを明確にしておく
少し難しそうに聞こえますが、おおむね以下のことを考えれば自ずと明確になっていきます。
①依頼するレベル
- 最低限必要な年間の税務書類を提出してもらいたい
- 顧問として毎月しっかり見てほしい
など、最低限の専門的な書類作成をお願いしたいのか、最大限のサービスをお願いしたいのかを考えておきましょう。
②連絡の度合い
- 毎月訪問してほしい
- しかるべきタイミングで必要な連絡をもらいたい
- 自分から質問したいときに質問したい
- どうしても対面で話したい、逆にできるだけオンラインで対応してほしい
など、どの程度密に連絡を取るのか、どのような手段を主にしたいかなどの希望を出しておきましょう。
③経営関与度
- 経営にまで関与してほしい
- 銀行融資の相談がしたい
- 特に経営まではタッチしてもらわなくてもOK
など、どの程度関与してほしいのかも大事な検討要素です。
上記の内容をはっきりさせることが重要です。もちろん、3つの内容はボリュームが大きくなればなるほど顧問料も上がってくるため、予算のイメージもつけておきましょう。
2)依頼したい業務をしっかりサポートしてくれるか
上記の①の方針が決まれば、サービス内容と料金が自分のニーズに合っていることが決め手となります。
②の連絡度合いがわかってくればサービス内容と料金の他、どんな視点で接してくれるかを把握する必要があります。
③の経営関与度が高い場合は、税理士の人となりを知ることが大切です。どのような業務をしているかと、どのような理念で業務をしているかを把握することです。
税理士紹介サイトも数多くあるため、評価と実際に頼まれた方のコメントも参考として読んでみると良いでしょう。評価の高い税理士事務所は信頼性が高いといえるでしょう。自分の求めていることと税理士事務所のサービス内容が一致していること、理念が納得できて同じ方向を向いていることが大切です。
3)納得できる報酬額か
世間の相場を気にしない昔ながらの高額な報酬の税理士事務所は、業務のやり方なども昔ながらの危険性があります。 良い税理士事務所は時代に合った方策を模索して効率の良い業務を行い、報酬も反映させるはずです。
一般的に税理士事務所の料金体系は、売上の増加に比例して報酬も増加します。 自社の売上が増加したときであっても、サービス内容と報酬が見合っているかをイメージする必要がありますね。 例えば、月々何もやりとりがないのに、高額の月額顧問料を支払わなければならないようであれば、金額面でのニーズが自社にあっているかを確かめる必要があります。
まとめ
自社のニーズにあった税理士を選ぶためには、
- 自社が税理士に依頼したい内容を決めること
- 自社に見合った税理士を探すこと
- 本当に税理士に依頼すべきか確認すること
を考える必要があります。面倒な作業ですが今後の経営に大きく関わってくる重大な問題でもあるため、しっかりと見直し、良い会計ライフが送れることを願います。
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