起業1期目の決算は解らないことだらけ。決算とは何をどうしたらいいの?どんな書類や手続きが必要なの?初めての事に頭を抱え、パニックになり、結果的に人頼み。。。なんてのもよくある話ですが。。。

社長として知っておきたい決算の基礎知識と決算書の構成と解説、法人住民税率の計算方法と簡単な計算例をふまえながら一目置かれる社長になるべく経営の基礎知識として頭に入れていきましょう。

会社における決算とは?

いつ、どういった事をするの?

決算とは簡単に言えば、「ある期間に得た儲けや財産を計算して決定すること」そこから収入と支出を計算した差し引きで利益を求めることが出来ます。

ある期間を決算期といい、その初日を期首、最終日を期末といいます。決算期は会社により異なりますが、日本の起業の多くは4月1日から3月31日までを1年間の区切りにしています。

決算をどの時期に行うかによって種類が分かれます。年に一度行う本決算以外は任意となっていて、会社の現状を把握するために役立ちます。

 

決算とは?1期目の社長が知るべき基礎知識

 

ざっくりな流れで言うと、会社ごとに決められている決算日現在で、会社がどのような状態になっているかを計算して表にし決算によって決算書を作成して経営状態を正しく認識、報告、公開する事が出来ます。この時に決算書をもとにして税額を計算し税務署等に確定申告を提出して税金を支払うという流れになります。

決算書についてはどのような役割があるのか?

そもそも決算書はなぜ必要なのでしょうか?誰が何のために利用するのでしょうか?

決算書は会社のありのままの姿が書かれた情報の宝庫であり会社1年間の「成績表」と「健康診断書」という2つの大きな役割があります。

  • 「成績表」
  • 「健康診断書」

1つ目の「成績表」では、その会社が一年間にどんな活動(事業)をしてどれだけ成果(利益)を出したかがわかります。決算書によって例えばこんなこともわかるようになります。

「最近CMや広告をよく見かける大企業だけど、数年後は倒産の可能性もある??」

「まだ無名の企業だけど、売り上げが1年前に比べて3倍以上成長している!」

このように決算書は書かれた数字からイメージや主観に惑わされることなく、会社の真価を見極めて客観的に知ることができるのです。

2つ目の「健康診断書」というのは、外側からではわからない会社の”体の中の状態”がかなり正確に知ることができます。外見は健康的に見えても内臓が弱っている人がいるように、会社も表向きは立派でも実際は赤字の場合がありますね。

それは決算書を見れば本当に健全な経営ができているか”中身の状態”を数字から知ることができというわけです。

これらのことから会社を経営している経営者自身が自分の会社の状況を正確に把握することができ、経営者や従業員だけでなく、取引先や顧客、株主である出資者や銀行などの債権者からの信頼や協力を得るための資料でもあることがわかります。

決算書の構成

ここでは決算書の基本となる「財務三表」について簡単に説明します。

「財務三表」とは「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」のことで、この三つの表を組み合わせて分析することで、会社の成績や健康状態を正確に把握できるようになります。

まずは硬いイメージのある三つの表をわかりやすく人に例えて全体のイメージをつかんでみましょう!

  • 「損益計算書」は1年間の成果や結果をまとめた運動成績表
  • 「貸借対照表」は会社の体つきや健康状態を記した健康診断表
  • 「キャッシュフロー計算書」は血流(現金の流れ)が記された血流検査表

このように身近なものに例えてみると、簡単なイメージでとらえることができますね。この3つの表さえザッと理解できればすでに9割はOK!


「損益計算書」とは

では最初に、一年間の成果や結果をまとめた運動成績表である「損益計算書」を簡単に説明していきましょう。

損益計算書には「売り上げ(モノやサービスを売って得たお金)」から「費用(会社から出ていったお金)」を引いて最終的に得た「利益(儲け)」が書かれています。

もっとわかりやすく理解するために、会社の経営活動を水泳に例えてみましょう。

二人が同じクロールを泳いだとしても、競泳の選手と素人ではスピードが全然違いますね。これは、素人は競泳選手に比べてそもそもの運動量が小さいうえに無駄な動きが多いからで、仮に同じだけ手足を動かしたとしても、無駄な動きが多ければ最終的に進んだ距離には大きな差が生まれてしまいます。素人の水泳と同じで、会社も仮に売り上げ(運動量)を大きくしても費用(無駄)が増えれば、利益(成果)は小さくなってしまいます。

つまり損益計算書からは利益を得るために会社がどれだけ動いているか?動きに無駄はないか?といったこともしっかり読み取ることができます。

「貸借対照表」とは

次に会社体つきや健康状態を記した健康診断書である「貸借対照表」について説明します。

貸借対照表には「財産(現金や原材料、土地、建物などの資産額)」とそれらを入手するためにかかった「元手(銀行からの借入金や資本金など)」が記されています。

健康状態が記された健康診断書としてみていくと、会社がどんな体つきを(財産)をしていてそれを支える骨格(元手)がどうなっているのかがわかります。

例えば、体の大きさが同じくらいでも、一方が筋肉質で骨太なのに対して、もう一方は内臓脂肪が多く骨も細いかもしれません。

このように、外からはわかりずらい会社の体の内部や健康状態をCTスキャンのように正確に教えてくれるものといえますね。

それから実際の貸借対照表は、「資産」「負債」「純資産」の3つの項目で記されています。「資産」とは、いわば会社の財産です。一方、「負債」と「純資産」は財産を手にするための元手にあたり、「負債」は銀行などに借りたお金、「純資産」は返さなくても良いお金と大まかに言うことができます。

つまり貸借対照表は資産という体つき(筋肉や脂肪)を、負債や純資産という骨格が支えている構図になっているのがわかります。

「キャッシュ・フロー計算書」とは

次に血流(現金の流れ)が記された血流検査表ともいえる「キャッシュフロー計算書」を見てみましょう。

キャッシュフロー計算書とは、文字どおり会社の現金(キャッシュ)の流れ(フロー)を示したもの。

会社にとって、現金とは命をつなぐ「血液」そのもの。たとえいい体つきでも、血液が足りなかったり、ドロドロで流れなくなったりすれば、あっという間に倒れて(倒産して)しまうこともありえますね。

ところで、損益計算書にも会社が儲けたお金や支払ったお金が書かれているのに、なぜわざわざキャッシュフロー計算書が必要になるのでしょうか?

実は損益計算書の売り上げや利益は、必ずしも実際の現金の動きを表しているわけではありません。取引するうえで、「モノやサービスが提供された時点で費用が発生する」というルールがあり、損益計算書はこの会計の原則に従ってつくられています。

決算とは?1期目の社長が知るべき基礎知識

 

そのため、実際の現金の流れのズレを見えやすくしようという狙いがあります。

決算の手順と課税額はどうやってきまるの?

まず法人決算の大まかな流れをざっと見ていきしましょう。

  1. 決算作業をはじめる準備をします。領収書、請求書の整理と通帳のコピーを行います。
  2. 会計期間の初日から決算日までの取引を会計ソフトに入力します。会計ソフトによっては自動的に取引を取り込んでしまうので、期末日までにすべて取り込めているか確認が必要です。
  3. 売上(売掛金)や減価償却費、貸倒引当金などの各種計上、品物商売等があれば在庫棚卸などを行います。決算日までに入金がない取引でも、決算日までに業務が完了した分を売上として計上します。
  4. 商品を仕入れたものの、期末日までに販売しなかった商品があれば金額を計算して在庫として計上します。
  5. データをもとに各種決算書類作成を行います。決算報告書の他にも必要な書類が多く作成には時間がかかる場合があるので計画的に進めていきましょう。
  6. 完成したそれぞれの書類を提出し申告、納税します。決算書類に含まれている貸借対照表などは10年間の保存義務があるため、作成した書類は提出前にコピーをとって保存しておきましょう。

ここまでで大まかな流れはだいたい頭に入ったところでしょうか?

では課税額はどのように決まるのでしょうか?

まず税金の種類について簡単に整理してみましょう。

税金は国に納める「国税」と都道府県や地方公共団体に納める「地方税」に分類されます。

「法人税」は会社の儲けに対して国が課す税金で「国税」にあたり、法人の所得に対して課税される「地方税」として「法人住民税」「法人事業税」があります。その他にも法人の確定申告に必要な税金として消費税や状況に応じて税金を支払いますね。基本的な納付期限は決算が終了してから2ヶ月以内に済まさなければいけません。ですが、特別な場合には、税務署に事前に届出を提出することにより「+1カ月」してもらうことができます。

こちらに法人の確定申告に必要な税金の一覧を簡単な表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。

番号

税金の種類

払う時期

どれくらい払うのか

申し込み書類

1.

法人税

地方法人税

法人住民税

法人市民税

決算終了後

2ヶ月以内(※)

「会社の利益」

×20%30%

     決算書・法人事業概況説明書・勘定科目内訳明細書・法人税申告書(各種別表)・適用額明細書(必要な方のみ)

2.

消費税

決算終了後2ヶ月以内

「預かった消費税」と「支払った消費税」との差額

一般課税の方:
消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)、付表1、付表2

簡易課税の方:
消費税及び地方消費税の確定申告書(簡易課税用)、付表1、付表5

3.

   法人住民税

各都道府県により異なる

決算終了後2ヶ月以内

各都道府県・市区町村により取り扱いが異なります。

*東京都の場合ですと、第6号様式、各種明細書となります。

                 4.

   法人事業税

各都道府県により異なる

決算終了後2ヶ月以内

事業所床面積×600

給与総額×0.25%

各都道府県により取り扱いが異なります。

*東京都の場合ですと、第6号様式、均等割額の明細書等の各種明細書となります。

法人税の計算の仕組みについて簡単に説明しましょう!

法人税は原則として、各事業年度の所得金額に法人税率を乗じて計算します。各事業年度の所得とは、法人税における儲けのことを言い、会計上の儲けにあたる利益とは異なります。

ではいったいどれくらいの税率で法人税は課されるのでしょうか?

法人税の税率は法人の種類によっても異なるのですが、株式会社の場合は以下のようになっています。

資本金額1億円以下

(中小法人)

資本金額1億円超

(大法人)

①所得金額800万円以下の部分

15.0%

23.4%

②所得金額800万円超の部分

23.2%

注:平成30年4月1日以後に開始する事業年度

この表を見てもわかるように、税率は会社の資本金額によってちがってきます。簡単に言うと、資本金額が1億円以下か1億円超かによって異なります。

資本金額が1億円以下の会社は、一部の所得(800万円以下の部分)にかかる税金が小さいため税額全体も小さくなります。なお、資本金額が1億円以下の会社は「中小法人」といい、これに該当すると一部の所得に対する税率が低くなる他にも、さまざまな優遇があります。法人税率は基本となる為、覚えておくと賢く節税できるでしょう。

この税率は所得に応じたものですが、所得とはその企業の利益のことをいいます。利益とは売り上げ金額ではなく所得に対して法人税は課税されるものとなります。

具体的な計算例で法人税額を計算してみましょう!

法人税額の計算例

法人税額

A

B

・資本金額が5000万円の場合

・所得金額は3000万円

・資本金額が3億円の場合

・所得金額は3000万円

①所得金額800万円以下の部分

120万円

=800万円×15.0%

702万円

=3000万円×23.4%

②所得金額800万円超の部分

510万円

=3000万円-800万円)

×23.2%

法人税額 ①+

630万円

     702万円

[Aの場合]

Aは会社の資本金額が5000万円の場合です。資本金額が1億円以下である為、「中小法人」に該当しますね。決算が終わり計算の結果、今期の所得金額が3000万円であったと算出されたとします。この会社の場合には、法人税額の計算を2段階に分けて計算します。

具体的には①の所得金額が800万円以下の部分と②の所得金額が800万円超の部分に分けてそれぞれ税額を計算し足した合計が会社が納める法人税額になります。

この計算例では、①所得金額800万以下の法人税額は税率15%を用いて計算した結果120万円となり、②所得金額800万円超の法人税額は、税率23.2%を用いて計算した結果510万円となります。よって合計した630万円の法人税額を支払うということになります。

[Bの場合]

Bは会社の資本金が3億円の場合です。資本金が1億円超である為「中小法人」には該当しません。資本金額の違うAとBとを比較出来るように、所得金額を同じ3000万円とします。

この場合は前述にあったような2段階に分けて計算はしません。所得金額全体に対して税率を掛けた金額が法人税額となります。この計算例では、所得金額3000万円に税率23.4%を用いて計算し702万円が法人税額という事になります。AとBを比較すると、同じ所得金額でも資本金の違いによって納付額は変わってくることが解りますね。

ここまでで法人税の仕組みと簡単な計算方法を見てきましたが、法人税額の金額は会社にとって負担が大きいと思いますか?

法人税率が15~23.4%ということは、会社が設けた利益の約四分の1程になりますが、法人税として収めなければならない事になります。また、法人税の他にも前述の表であるように住民税や事業税も収めなければならない為、もっと多くの税金を支払う事になります。

これらを支払うことは、法人を経営する人にとっては、切っても切れない税金です。

ここまで一目おかれる社長になるべく経営の基礎知識としてレクチャーしてきましたが、法人税は申告処理が複雑な部分もあり、税理士に全て任せているところも多いかも知れません。しかし出来るだけ経費を抑えて会社の利益を多く残したいと思うのは、誰しもが同じく思う事です。税理士顧問料とて見直さなければいけない経費です。

会社の負担を減らすことを考えると、月々の顧問料に加えて決算時にかかる申告料や相談料は大きな出費になっている事に気づきますね。自社にて最適な会計体制をとる事で、税理士顧問料を少しでも軽減することが出来ます。

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